相続時精算課税制度による対策

相続時精算課税制度は、いくら贈与しても相続時に精算されるので、相続税対策としてはあまり効果がないともいわれます。

しかし、贈与する財産の選択によっては、相続税対策として大きな効果を期待できることもあります。

相続税の課税対象とならない人にとっては、生前贈与が簡単になるので、相続税対策としてではなく、生前に感謝の気持ちを形にしたり、 子どもの夢を叶える手助けをしたい親にとっては、この制度を利用することにより、税金の負担に悩まされずに色々と選択肢が広がります。

ただし、一度この制度を選ぶと変更できないので慎重に判断すべきです。


相続時精算課税制度とは

「相続時精算課税制度」は、生前贈与により財産を取得する際に、一定の要件を満たす者がこの制度を選択した場合、 贈与時の贈与税が軽減され、相続時に相続税で精算するという制度です。


制度導入の背景

従来の贈与税は、「相続税の課税を免れる為の生前贈与を防ぐ」という観点から、非常に高い税率が設定されていました。

このため高齢者から次世代への財産の承継は、相続を通じて行われるのが通例です。

しかし、近年の高齢化に伴い、承継が相続のタイミングでしか為されないと、資産の次世代への移転がなかなか進まず、 資産の有効活用という視点に立った場合、望ましい状況とは言い難いものがあります。

このような背景から、生前贈与と相続の財産承継時の選択に関し、税制の中立性を確保すべく贈与税と相続税の一体化課税方式が導入されました。


制度の概要

平成15年1月1日以後に財産の贈与を受けた人は、贈与をした人毎に相続時精算課税制度を選択することができます。


相続時精算課税制度を使った贈与の例

賃貸住宅を贈与する

ローン返済が完了した賃貸住宅は、必要経費が少なく利益が多く出ます。
生前贈与により賃貸所得が子に移転し、親の所得税の軽減及び財産増加の抑制、更に子の納税資金の原資にもなるので、相続税対策になります。


自社株を贈与する

自社株の評価を下げ、自社株を生前に贈与します。後継者を名実共にオーナーにすることで、事業の承継も円滑に行えます。

相続時精算は贈与財産を贈与時の時価で相続財産に取り込むので、将来株価が増加すれば相続税の節税対策にもなります。


立場の弱い相続人へ贈与する

先妻の子、認知された非嫡出子等、相続時に立場が弱い相続人は、たとえ遺言書があったとしても遺産分割でもめることが多く、 それを防ぐ意味でも生前に自分の意思でそれなりの贈与をし、遺留分の放棄をしてもらった上で遺言書を書くことにより円滑な移転が可能となります。

また、財産的弱者へは生活補助として早期に財産移転が可能となり、財産を有効に使うことができます。


住宅資金の贈与、住宅ローンの肩代わり

子供に住宅資金を3500万円まで無税で贈与します。
又、学資負担の大きい世代の子供へは、住宅ローンの肩代わり資金として2500万円まで無税で贈与することにより、子供の生活も助かります。


住宅を新築して贈与する

住宅資金贈与は、3500万円まで無税ですが、新築した住宅を贈与すると、資金を贈与するよりも大きな相続税の節税効果が見込めます。

取得価額4000万円の住宅の贈与税評価は、概ね2500万円程度なので、無税枠2500万円の贈与で4000万円の財産を贈与したのとイコールです。

ただし、居住用不動産を取得した直後に贈与すると、不動産の贈与ではなくその不動産を取得する金銭の贈与とみなされる恐れがあるので、取得年の贈与は避ける方が賢明です。


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