相続税における特殊な不動産の評価方法
借地権の評価
他人の土地(借地)に自分の家を建てて居住し、地主に地代を支払っている場合、その人は土地を使用できる権利「借地権」を有しています。
借地権は、相続の対象となり、自用地としての価額に「借地権割合」を掛けて算出します。 借地権割合(30%~90%)は、国税庁が定めており、路線価図の路線価を示す数字の横に記号で書いてあります。
定期借地権の評価
定期借地権とは、新借地借家法による期限を定めた借地権で、以下に掲げた3種類があります。
一般定期借地権 | 契約期間を50年以上とする。 |
建物譲渡特約付借地権 | 契約期間を30年とし、期間満了後は 借地上の建物を地主に譲渡することを定める。 |
事業借地権 | 事業目的で契約期間を10年以上20年以内とする。 |
借地権との違いは、従来の借地法では土地を一度貸して借り主が建物を建てると、なかなか返してもらえませんでしたが、新借地借家法では借地人は期限がきたら土地を返さなくてはならなくなりました。
定期借地権の評価方法
地主側に相続が発生した場合、借地人から預かった保証金の一部が債務となって相続財産から控除されます。
一般定期借地権の土地は、存続する年数が50年以上ですが、期限がきたら必ず更地になって地主に返ってきます。
地主にとっては、残存年数が少なくなれば貸宅地の評価が高くなるように設定されています。
借り手側に相続が発生した場合、地主側の債務がそのまま相続財産となります。
建物、保証金、そして定期借地権の価額です。
保証金は契約時の価額ではなく、その時点の残存年数に応じて一定割合を差し引いて評価します。
地上権の評価
工作物(橋梁等)を建てたり、樹木などを栽培するために他人の土地を利用する権利を「地上権」といいます。
地上権には、送電線等のように、一定の「地下」または「空間(空中)」に設定されるものもあります。これを「区分地上権」といいます。
地上権も相続の対象となりますが、借地権とは区分されています。
地上権の評価は、地上権の残存期間に応じた割合と、自用地の評価額を掛けて算出します。
貸宅地の評価
他人が家を建てるために借りている土地は、土地を貸している地主側にしてみれば「貸宅地」です。
これも相続の対象になりますが、借地権が設定されているので、地主は勝手に貸宅地を処分できないという理由から控除の対象になります。
評価は、自用地としての価額から自用地としての価額に借地権割合を掛けた額を引いて算出します。
貸家建付地の評価
一戸建ての貸家や、賃貸アパート・マンションが建っている土地を「貸家建付地」といいます。
貸家建付地も貸宅地と同様に控除の対象になっています。
評価は、自用地としての価額から自用地としての価額に借地権割合と「借家権割合」を掛けた価額を引いて算出します。
その他の特殊な不動産の評価
不整形地の評価
不整形地とは、その名の通り、形の悪い土地(正方形や長方形のように整った形ではない土地)のことをいいますが、そういった土地は、路線価で評価した額を基に、形状などから補正率で調整します。
無道路地の評価
無道路地とは、一般に道路に直接接していない土地をいいます。
評価については、私道により公道に通ずることのできる間口が狭小な宅地(袋地)と、そうでないものを無道路地として区別します。
がけ地の評価
がけ地とは、一般に傾斜度が30度以上ある急傾斜地のことをいいます。
がけ地が多いと利用価値が下がるため、土地全体に対するがけ地の割合が増えるほど評価額は低くなります。
雑種地の評価
土地の地目は、田、宅地、山林等23種類に区分して法律に定められており、地目毎に詳しく定義されていますが、「雑種地」とは、法律で定められた特定の地目のいずれにも該当しない土地と定義されます。
雑種地の具体例としては、露天駐車場、資材置場などが該当します。宅地等と同様に、売買事例や付近の土地の価額に照らし評価します。
私道の評価
不特定多数の者の通行の用に供される私道は評価ゼロ、それ以外の私道は更地評価額の30%の評価です。
大規模な工場用地の評価
面積が5万㎡以上の大規模工場用地は、その用地が路線価地域の内、大工場地区にある場合は路線価方式で、大工場地区にない場合は倍率方式で行います。
by 小松原会計
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